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ぴぃすについて
自分が「がん患者」として探していたもの。
がん患者さんの居場所を作る。
- Profile -
1995年高知医科大学(現高知大医学部)卒業
緩和ケア科医師
子宮頚部腺癌患者
私は2010年秋に検診で子宮頸部腺癌と診断され、2011年1月に広汎子宮全摘術を受けました。
今でもつらい気持ちは変わりません。「がんになりたくなかった。がんは嫌い。」いつもそう思っています。
また、私はずっと孤独ながん患者でした。話したいのに話せない・・・それがとてもつらかったです。
がんを告知されて辛かった時、治療や後遺症のことで悩んだ時、患者会や支援所を探しましたが、残念ながら望むものはみつかりませんでした。
そんな中、実際に私を支えてくれたのはネットで知り合った同じ病気の女性たちでした。
どんな治療をしたのか、なぜそれを選択したのか、治療後の生活は変わったのかなど・・・たくさんの質問を投げかけ、皆さんの答えを聞きながら自分の進む方向を決めていきました。
そしてこの度、今まであったらいいなとずっと感じてきた「がん患者の居場所」となる「がん患者寄合所ぴぃす」を作りました。
がんの治療は大変です。治療してもそこで終わりではありません。だからこそ、助けが必要なのです。
今私は緩和ケア医としてがんの患者さんと共に生きています。
患者として医師として辛い思いをしている患者さんに出会い、力になりたいと思っています。
患者さんに必要なのは会話。話すこと・聞くことから道が開ける。
当時がんかもしれないと言われてから、ひたすらネットで自分の病気を検索しました。
数多の情報の中から自分に必要なものをピックアップするのは実に大変でした。医学の知識があるので整理しながら情報を集めていきましたが、その過程で「治療の選択をする時には実際の患者さんの生の声が聞きたい」と思うようになりました。
医師からは図や書面を使って丁寧な説明があったものの、自分の命や生活に関わる重大事項を数値で説明されても実感がわかず、実際に治療をしている患者さんの体験や気持ちが知りたくなったのです。
そして身の回りにある患者会やサロンを探しましたが、結局自分が知りたい情報を与えてもらえる場所には行き当たりませんでした。
この時「患者さんが話したいときにちゃんと聞いてくれる仲間や場所があり、そこでは必要な情報がいつでも正確に得られる。」ということがとても大切だと感じました。
「がん患者寄合所ぴぃす」は、そんな場所を提供したいと思います。
がん患者、ご家族、ご遺族みんなが互いに話し、助け合える場所を実現する。
がんが疑われるとたくさんの検査が始まります。検査、説明、検査、説明・・・そしてその都度、嫌な話を聞くことになります。
診断が下ると、次は治療の選択です。治療方法は自分で選ぶ必要があり、そのためには医師の説明を理解し、自分が受ける治療法を知り、理解、納得して受けることが大切です。
治療にはもちろん効果がありますが、必ず副作用や後遺症など患者さんに負担となる事象があります。
それらをきちんと理解したうえで決定していくことが望ましいのですが、時に医療者とのコミュニケーションがうまくいかず、理解できないまま、納得できないまま治療が始まってしまうことがあります。
そんな時は一度立ち止まり、きちんと主治医に質問できる関係を作らなければなりません。
また治療後にもさまざまなことが問題となり得ます。そんな時「困っています」ときちんとSOSが出せることが大切です。
「がん患者寄合所ぴぃす」の目指す姿
私たちが提供するのは目には見えない心と心のつながりです。
がん患者さんや患者さんを支えるご家族、医療者がいつでも話し、問題や不安を少しでも解決することができるよう、共に考え、必要な正しい情報を提供していきます。
ゆくゆくはがん患者さんが生活する場所も作っていきたい、正しい知識を得るための勉強会や講演会も開催していきたい、とやりたいことはたくさんありますが、まずはこの2つを実現していきます。
現職の医療スタッフと病院外で話す場所作り
いつでも使えるスペースと医療スタッフを確保し皆様をお待ちしています。現在のところスタッフは緩和ケア医でもあり、がんサバイバーでもある田所園子と、緩和ケア病棟勤務経験のある正看護師・北川信子の2名です。
その他、正看護師やご遺族もサポートいたします。病院から出て話すことに意味があると感じています。
今後は支える側も支えられる側も共に刺激し、高め合いながら活動ができるようぴぃすの輪を広げていきたいと考えています。
ホームページを通して皆さんとつながる
私を支えてくれたのは、ネットの中にいるたくさんの子宮がんの患者さんでした。ぴぃすのホームページには患者さんの知りたい情報をアップし、さらにブログを通してがん患者、医師として日々私が感じていること考えていることを発信していきます。皆さんからのコメントや相談を受け付けることができるよう準備していく予定です。
早期からの緩和ケアの普及は最も力を入れて皆さんに伝えていきたいことなので、勉強会や講演会も積極的に開催していく予定です。